アマチュア観測家の楽園、アリゾナの「天文村」

http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200708120023.html

2007.08.12
Web posted at: 19:25 JST

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アリゾナ州アリゾナ・スカイ・ビレッジ(ロイター) 米アリゾナ州に広がる砂漠の真ん中に、「スカイ・ビレッジ」と呼ばれる村がある。澄んだ夜空を求めて都会を離れたアマチュア天文家が、5年前に開発した分譲地だ。世界各国から同好の士が入居し、自宅に備えた望遠鏡で心行くまで星空を楽しんでいる。

スカイ・ビレッジまでは、州南部の都市トゥーソンから南東へ車で2時間余り。村の中には、「スカイビュー・ドライブ」「南ミルキーウェー」「スターライト・トレイル」といったロマンチックな名前の道路が走る。砂漠性の茂みの間から、私設観測所付きの住宅があちこちに顔をのぞかせる。土地の広さは、1区画約4900坪。中には建築工事中の区画もある。全米各地はもちろん、英国、韓国、ロシアなどからの入居者もいるという。ここでは日暮れから夜明けまで、天体観測を妨げるような明るい光は禁止。住民は皆、このルールを固く守って暮らしている。

開発を手がけたジーン・ターナー氏は、「これほど暗い夜空は、全米を探してもほかにない」と胸を張る。州内の砂漠を探し回って、ようやくたどり着いた土地だ。「ここでは天の川が本当に明るく、立体的に見える。500年前ならどこにでも同じような夜空があったはずだが、最近では非常に珍しい」という。

米国内のアマチュア文人口は100万人以上とされる。同じような住宅地は、ほかにジョージア州フロリダ州などにも誕生しているが、アリゾナ州の温暖で乾燥した気候は、天文家にとって格別の環境だ。

スカイ・ビレッジに家を完成させたばかりのジム・アルゴッツ氏(68)は、研究職を退いた後、趣味の天体観測に情熱を傾けてきた。「退職当時は、ひとりきりになれる場所で星を見て暮らしたいと思っていたが、それでは寂し過ぎることに気付いた。ここには話の合う仲間がたくさんいる」と、笑顔で語る。

住民の中には、小惑星超新星の発見を目指したり、最先端の望遠鏡を地球の裏側から遠隔操作したりする本格派もいる。しかし大部分は、アルゴッツさんのような愛好家。日暮れとともに観測所の屋根を開け、ベートーベンの交響曲をバックに夜空を堪能する生活が、かれらの究極の理想なのだ。

ターナー氏が売り出した85区画は瞬く間に完売し、残る物件は周辺部の一握りの住宅のみ。新たな開発を望む声も多いが、ターナー氏は「自然をできるだけ残したいというのがわれわれの考え方。人口を増やしすぎることだけは避けたい」と、慎重な姿勢を示している。

こういうのはいいかもですねー。